自信のあることしかやらないよ


学校でやるスポーツ実技という科目。
まぁいうなれば 「体育」 ってやつだけど、大学っていうのは格好をつけて呼ぶのが好きなんだろう「スポーツ実技」なんて呼び方をする。


前期はソフトボールをやっていて、思いのほか活躍できて「松本くんはSだな」と先生も言ってくれていたのに…通知表が来るとまさかのA判定。



なんでやねん、絞め殺すで小川先生。


まぁ本当のところなんでA判定だったかは分かってるんですけどね、きっとサボりが多すぎたんですね。






そんなスポーツ実技、後期も履修することにいたしまして(大学は前期と後期の2期制) 履修を決めるときに、自分が何のスポーツをするかを決めるわけです。


後期はきっと寒いから、外の競技よりは内の競技がいいな。
できるだけ経験者が少ない、もしくは経験者にでも少しでも対抗できる競技がいいな(チキン思考)
あんまり大所帯の競技じゃなくて、あまり人気のない身内でワイワイできるやつがいいな(マイナー思考)
そんな事を考えると、俺に一番適したのは卓球になったわけ。




ほら、もし女の子の前で経験者に負けても卓球なら
「うわ、経験者には勝てねーや、ワハハハ」ですむでしょ。


もしかしたら
「うわ、さっきの奴のサーブ見たかよ、まじキモイやん」 という言い訳も可能かもしれないでしょ。






そんな最悪かつ下劣な動機で始めた卓球。
でも本当は実はちょっと自分の腕に自信があったのも事実なわけで、心の中では《経験者以外になら負ける気がしねえ》なんて自信たっぷりなわけですよ。


実際、地元で友達とちょくちょく卓球をして遊んだりしたんだけれども、4人グループの中では一番強かったと思うし、夏休みに帰郷した時にも僕が高校時代に勝てなかった奴を相手に≪11−1≫で完全勝利したし。(足達くんは半泣きでした)
もう今の俺に卓球で勝てる奴なんて経験者以外ではそうそういるわけねえ、と思って、いざ初日。




いざ授業が始まって、にやり。


(……こいつら予想以上に弱ええ!)




勝負の最初の方は軽くラリーを合わせてやって、こちらが飽きたころにズドン。そのたびにいちいち騒ぐギャラリーたち。おれ有頂天。


(こいつは気分がいいなおい)





先生「ピッピー!! それじゃあ今からリーグ戦を始めます」




そんなこんなで始まった、38人でのリーグ戦。
僕の仲間内では、僕の見るところ僕が一番強かったが…さて残りの33人の実力はいか程よ!


と意気込んで挑んだリーグ戦。
一回戦から経験者に見事にけちょんけちょんにボコられましたね。




奴ら、サーブがぱねぇ
ワンバウンド目は普通の球筋なのに、ツーバウンド目した時に異様に伸びてくる。そんな球初めてみますた。


卓球なら経験者に負けても悔しくないと思っていたけど、あれどうして、めちゃくちゃ悔しい俺。
そいつの見た目がいかにも冴えない風体だったからかな(人のこと言えんが) なんだよこの屈辱感。






そしてそれからは、普通に僕より強い未経験者も見つけて。【これは全然レベルが高いな】と今更ながらも気がつく井の中の蛙クン。
もう過去の俺をぶん殴ってやりたい。もみあげを引っ張って廊下を引きずってやりたい。



まぁそんな楽しいスポーツ実技。
だから毎週金曜日が楽しみなんです。